アケボノゾウ切歯・臼歯

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オオバタグルミの化石と一緒に展示されていたアケボノゾウ化石について。
展示されていたのは、平成元年6月発掘の左切歯、同時期の左上顎第2大臼歯、平成8年頃の右下顎第3大臼歯(第2個体)、平成20年の右切歯、のレプリカ4点です。発掘年等は書かれていないものもあったので違っているかもしれません。

平成元年の発掘については、平成6年 長野市立博物館「東部町産アケボノゾウ化石標本について」に概略がありました。以下はその一部です。

平成元年6月7日
 ゾウの切歯(キバ)化石発見の連絡を受け、長野市立博物館職員が東部町の現地を確認。
平成元年6月8日
 館長以下、学芸員及び信州大学理学部大学院生の応援のもとにゾウの切歯化石を採集し、
長野市立博物館に搬入。採集の際、切歯は2つに折れる。
平成元年6月9日
 ゾウの切歯化石を分館の茶臼山自然史館へ移動。
平成元年6月21日
 信州大学亀井先生(当時)が切歯化石の保存指導のため来館。
平成元年6月29日
 信州大学大学院生3名クリーニング指導のため来館。(これ以後、切歯化石の片方を自然史館でクリーニング)
平成元年7月5日
 信州大学理学部大学院生らに、切歯の片方のクリーニングを依頼。
平成元年7月~8月
 夏休み期間中に切歯化石(部分)を一般公開。
平成元年8月20日
 博物館だより第14号に「アケボノ象のキバを発掘!」の記事を掲載。
平成2年1月18日
 信州大学理学部よりクリーニングの終了した切歯化石搬入。
平成2年1月26日
 切歯化石を一時自然史館常設展示室にて展示公開。
平成2年5月10日
 切歯化石のレプリカが完成し、自然史館常設展示室にて展示公開。
平成2年5月17日
 切歯化石のレプリカと展示ケースを東部町教育委員会に引き渡し。

平成元年以降現在までに、アケボノゾウと思われる化石約20点受け入れ、収蔵。


東部町で発見され、長野市立博物館と信州大学で発掘・クリーニング等を行ったことがわかります。平成2年5月の「切歯化石のレプリカと展示ケース」が、今回展示されていた大きい方の切歯なのでしょう。

平成4年以降の北御牧村での発掘は、北御牧村が発掘調査団を編成して行いました。平成15年と19年に報告書が出ています。その後の成果についてはまだこれからのようです。


下の3つの写真は戸隠地質化石博物館にある、東御市のアケボノゾウ切歯と臼歯のレプリカです。どちらも出土地は千曲川左岸の地名になっていました。
切歯は東御市立図書館の展示品と同じように見えるのですが、出土地が東御市立図書館の展示品は千曲川右岸だったので別の標本なのかもしれません。

臼歯は左上顎第3大臼歯でしょうか。
アケボノゾウの歯は横から見ると細長い三角形が連なっているように見えます。
アケボノゾウ(Stegodon aurorae)は Stegodon 属ですが、Stegodon はギリシア語で「屋根の形の歯」を意味するそうです。(stego 屋根、odon 歯)
歯の形を屋根に見立てたわけですね。