管状の化石

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上の2つの写真は別所層(青木層かも)の管状の化石です。管の直径約2.5mm。(1枚目の写真、中央左から右上に横たわっているもの。2枚目の写真は管の断面)
あちこちで見つかり、以前から博物館で聞いてみたり、気になっているものです。
調べてみると、Makiyama chitanii (古い資料では Sagarites chitanii)、Yokoia kattoi(坂城町横尾層産。WoRMS では Bathysiphon kattoi)などがあるようですが、示準化石と言われるわりには、資料も写真も少なく、よくわかりません。

Makiyama chitanii は海綿ではなく膠着質有孔虫との説があります。

http://www.palaeo-soc-japan.jp/Japanese/meeting_abstract.html
1999年年会 東北大学理学部
『日本古生物学会1999年年会(仙台)講演予稿集』
長谷宏司・近藤康生「Makiyama の分類場の位置:元素マッピングと骨針の形態分析に基づく再検討」
102頁より引用

以上のように,われわれが検討したMakiyamaの5サンプルは,互いにきわめて類似した構造と化学組成を持つことが判明し,膠着質の現生底生有孔虫であるBathysiphonとは区別されるものであることが明らかとなった.また,同一種の海綿動物に含まれる骨針の多様性をはるかに越える骨針群が同一標本から見いだされたことからも,Makiyamaは海綿動物そのものではなく,海底に散らばっている海綿骨針を集めてチューブをつくる別の底生動物であることがほとんど確実となった.以上の点を考慮すると,Makiyamaは,Bathysiphonとは形態は異なるものの,これと同様,海綿骨針を集めて殻をつくる膠着質の底生有孔虫であると考えるのが自然であろう.


一番下の3つの白黒写真は、畑井小虎・野田浩司「長野県中新統横尾層産有殼多毛虫化石について」(1975)より、Yokoia kattoi です。右は骨針の拡大写真。
Yokoia kattoi も現在は膠着質有孔虫の Bathysiphon 属に分類されているのでしょうか。

http://www.palaeo-soc-japan.jp/Japanese/TPPSJ-dl.html
『日本古生物学会 報告・紀事 No.100』(1975)
654. HATAI, Kotora and NODA, Hiroshi: An armored worm from the Miocene Yoko-o Formation, Nagano Prefecture, Japan