企画展「上田地域の地層・化石・鉱物」

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

上田創造館の企画展「上田地域の地層・化石・鉱物」を見てきました。
8月31日まで。

広いスペースにたくさんの標本と解説のパネルが並んでいます。
主に第四紀の研究をされている山辺邦彦先生がほとんどの展示を監修されたそうで、他では見られない、特徴的な企画展になっていると思いました。
以下は主な内容です。

上田地域の主な鉱物、化石(多数の標本)
火山灰の標本(上田地域の主な溶結凝灰岩の標本、群馬県古永井の火山灰層)
真田町渋沢産植物化石(標本)
郷土の地質研究者(小山進、保科百助と武石小学校)
鴻の巣の鉱物と加熱して作り出せる金属と鉱物(褐鉄鉱・ベニガラの古代鉱山か?)
ノジュールと植物化石
上田地域の活断層
上田地域の溶結凝灰岩
上田地域の亜炭と炭鉱
上田泥流
和田峠火山の火山灰その1 貫入岩か溶岩かを判断できる火山灰層 ~西餅屋・焙烙沢の玄武岩
和田峠火山その2 和田峠から離れた場所で拾える黒曜石 ~自然の力で運ばれた黒曜石~
北アルプスの火山から上田地域に飛来した火山灰
窓岩(まどいわ)火山灰層 ~菅平北斜面にあった火山からの火山灰~
高屋火山とごとみき火山の火山灰層 ~群馬県にある火山灰から火山活動の様子が分かる~
鷲場(わしば)軽石流堆積物 ~市民の森付近で噴火~
姶良(あいら)火山灰層 ~鹿児島県から飛来した火山灰~


どれも興味深い内容なのですが、今日は一つだけ、五無斎関連の話を書きます。
武石小学校にある「長野県地学標本」と当時の学校日誌のコピーが展示されていました。
明治29年4月に比企忠、5月に高壮吉が武石村に来たときの学校日誌の記録です。

四月五日 日曜日 晴天
理科大学嘱托講師理学士比企忠君来村保科訓導ノ寡居ニ宿ス

四月六日 月曜日 晴天
理科大学講師理学士比企忠君来校アリシカバ保科訓導ハ同理学士ヲ案内シテ ~

五月一日 金曜日 晴天
帝国大学工科大学採鉱治金科学生高壮吉君来村保科校長及宇野高等学校訓導ノ案内ニテ下本入区ニ至タリ緑簾石即チ本村内ニ於テ焼餅石ト称スルモノヲ採集ス
因ニ言フ本鉱物ハ唯焼餅石トシテ知ラレタルノミニシテ其何種ノ鉱物ナルヲシラザリシヲ本日来村セラレタル高壮吉氏ニヨリテ鑑定セラレ遂ニ学者社会ニ紹介セラルゝニ至タルモノナリ


武石村百年の歩み」という本に5月1日に高壮吉が来村したことが書かれていましたが、出典がありませんでした。たぶんこの武石小学校の日誌だろうと思います。
比企忠は4月5日に来て、保科百助のところに泊まったことがはっきりしました。
以前の関連記事です。
比企忠が保科百助と取引をしたという話
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/32169511

武石小学校の日誌は、昨年、実物を見る機会があったのですが、時間がなくて詳しく見ることができませんでした。重要な資料なので、できればしっかり確認したいと思います。

「長野県地学標本」は、献納先の一覧に武石小学校はないので、その後、どこからか移ってきたものかもしれません。