薬としての蛇骨

木内石亭「雲根志 前編」(1773)に「蛇骨」があります。

雲根志 前編 巻之二 采用類 蛇骨 五十四
蛇の骨の化せし物といふはあやまり也土中に産して白く骨に似たる石也むかしは日本にある事をしらず唐物を用ゆ今の世見出して沢山に出す功能尤おとらず大和国大峰山相模国はこね山にあり土俗切疵に用ゆよくちをとむると此石至てやはらか也又近江美濃よりも出す


この蛇骨は珪華と言われています。しかし、珪華なら日本にもあるので「むかしは日本にある事をしらず」という記述がちょっと不思議です。珪華そのものが知られていなかったのか、それとも、珪華は知られていてもそれが薬の蛇骨であることは知られていなかったという意味なのか。あるいは、時代や地域や人によって定義が異なっているのか。
石灰華や沸石類とはどのように区別していたのでしょう。

産川の蛇骨石は珪華ではなく沸石類ですが、同様に傷ややけどの薬と言われています。(出所不明の情報ですが、石を粉末にして卵白と練り合わせて使うという話も聞きました。)
昔から薬として使われていたのか、雲根志以降のことなのか。

手塚村誌(明治15年 1882)
此蛇骨石を粉末し以て金瘡等に貼すれば其功太だ驗あり。