天狗爪石(てんぐのつめいし)

イメージ 1

先日、テレビの録画で鉄腕DASHのサメの歯漁具を見て、雲根志の天狗爪石を思い出しました。
「天狗の爪」は「サメの歯の化石のこと」と言われることもありますが、江戸時代には、他の動物の化石、雷管石、石器、骨角器、装身具、信仰に使われたもの、それらに関係する言い伝えの中にあるもの等々を含んでいたようです。
樹木や家の屋根から見つかるのは、雷除け、魔除け、病除け等の風習・まじないでしょうか。(抜けた歯を投げ上げる風習とも関係がある?)
舟の底板に外より打ち込んであったというのは、サメの襲撃の跡だったのかも。(『天狗爪石奇談』(1796) 『雲根志 三編』(1801))

国立国会図書館デジタルコレクション 雲根志 後編 3-4巻 23コマ目
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2563670

木内石亭(小繁、重暁 1724-1808)『雲根志 後編』(1779)
巻之三 像形類《ざうぎようのるい》 九十種

天狗爪石《てんぐのつめいし》卅二
俗《ぞく》に天狗《てんぐ》の爪石《つめいし》といふ物 形《かたち》爪《つめ》のごとく長さ壹弐寸 先《さき》尖《とかり》根《ね》に肉着《にくつき》あり 色 紫黒《しこく》兩端《りやうたん》鋸歯《のこぎりば》のごとく實《じつ》に爪に似《に》たり 雷《らい》のおちし跡《あと》或は古《ふる》き屋《いへ》を葺《ふき》かゆるとて得《え》又は大石を破《やぶ》りて得《う》る事もあり 大木を切《きり》て木に立《たち》たるを得る事あり 能登國《のとのくに》七尾《なゝを》近處《きんじよ》に稀《まれ》にあり 佐渡《さと》國 越後《えちご》國 等《とう》にあり 或説《あるせつ》に山龜《やまかめ》あり よく木《き》に上《のぼ》る 此物の爪《つめ》なりと 此説 疑《うたがは》し 山龜《やまかめ》樹《き》に上《のぼ》るといふ事さだかならず 又 先師《せんし》陳藏器《ちんざうき》が本草拾遺《ほんざうしふゐ》に所謂《いはゆる》雪剉刀《せつざたう》に當《あつ》又 誤《あやまり》か 又一説云《せつにいふ》鰐鮫《わにさめ》の類《るい》の大魚の歯《は》なり 是又 詳《つまびらか》ならず 予長さ三寸 幅《はゞ》三寸なるを藏《ざう》す 能登《のと》所之口七尾《ところのくちなゝを》の産《さん》なり 石中に得たりと 伊勢 柳谷《やないた》介石山《かひせきさん》の内 石中に大さ弐三寸許なるを得たり 今予伊勢能登越後等より二十枚《まい》を集《あつめ》得《え》たり


他に、同巻 像形類 四「霹靂碪《へぎれきちん》」(へぎれきじん?)、『天狗爪石奇談』、『雲根志 三編』巻之六 像形類 二十四 天狗爪石 に関連の記述がありました。


丸子郷土博物館に1945年頃土砂から見つかったというサメの歯化石があって、『丸子町誌 自然編』(1992)等では内村層からの産出としているのですが、他に化石産出の報告を聞かない場所なので、神仏関係のものではないかとの話もあります。
写真を見ると白っぽい化石で、別所層の黒色頁岩で稀に見る歯冠の黒っぽいものとは異なっています。確かなことはわかりませんが、北陸や東海地方、長野県では阿南町等の化石が伝わってきたという可能性もあるかも。
http://edu.umic.jp/zukan/work/column003.htm
http://www2.ueda.ne.jp/~moa/tomikusa.html

聖寿寺館跡で児童がサメの歯の化石発見(2017.7.10)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2017/20170710026779.asp
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201707/20170711_23004.html