願海の幟旗

願海の幟旗

願海の幟旗(和風)

願海の幟旗(甘)

願海の幟旗(雨)

願海の幟旗(落款)

三鈷杵と古銭(寛永通宝)

大行満 願海の幟旗の展示(とっこ館)を見てきました。
展示期間は「手塚の柳町歓喜天堂関連資料展」8月19日(土)~9月3日(日)と同じとのこと。
http://www.shiodanosato.jp/news/

「和風常応節 甘雨順時行」は金光明最勝王経にある言葉です。読み方は例えば「わふうじょうおうせつ かんうじゅんじこう」「わふう つねに せつにおうじ かんう ときにしたがいゆく」とかでしょうか。

和風常応節
 文久四秊甲子三月
 池惣 郷中
 大行満願海和南

甘雨順時行
 文久四秊甲子三月
 池惣 郷中
 菩薩僧願海拝書


『金光明最勝王経』巻第八 王法正論品第二十 より
天及諸天子 及以蘇羅衆 因王正法化 常得心歓喜
天衆皆歓喜 共護於人王 衆星依位行 日月無乖度
和風常応節 甘雨順時行 苗実皆善成 人無飢饉者

およその意味は、正しい政治を行えば神々は王を守護する。星・日・月は正常に動く。穏やかな風が季節に応じて吹き、恵みの雨は時に従い降る。作物は良く実り、飢える人はいない。

大きな文字は筆で一度に書いたわけではなく、丁寧に塗ってあるように見えました。

文字の中にあるという梵字を探してみたのですが、下から見上げるので、はっきりは見えませんでした。
カメラでズームすると「和」の左縦棒と右上横棒、「風」の左縦棒、「甘」の上横棒と左縦棒、「雨」の左縦棒に文字のようなものが見えました。経文か陀羅尼か名号か。判読可能な写真を撮ってお寺の関係者に見てもらえばわかるのではないかと。(「直筆」「刺繍」の二通りの解説がありました。刺繍だとしたら透過光(逆光)でも文字が見えるのかも。)

(※追記:大文字は塗りまたは染め。署名の文字は裏からもなぞってありました。梵字は刺繍ではなく濃い筆書き。大日法身・報身・応身真言不動明王真言一字金輪真言、五大虚空蔵菩薩曼荼羅や宝篋印塔の中央・東・南・西・北)、南無阿弥陀仏、等)

下2枚の写真は、幟旗の落款、南無仏頂尊勝陀羅尼塔の下から出土した三鈷杵と古銭(寛永通宝)の展示です。
陀羅尼碑は各地にあるようですが、金光明経の幟というのは、種類や分布はどうなのでしょうね。

冷泉為恭と願海についての大正時代の本です。
逸木盛照『冷泉為恭 : 為恭と願海の生涯』(1925 大正14年)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1020403

関連の記事です。
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/34587331
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/34589557

 

追記:梵字幟は六度六波羅蜜)でした。
http://www.shiodanosato.jp/2020/06/post-776.php
(上部 左から右へ)
ダー ナ (檀那 だんな 布施 ふせ)
シー (改行) ラ (尸羅 しら 持戒 じかい)
シャーンティ (羼提 せんだい 忍辱 にんにく)
(大文字)
ビー リャ (毘梨耶 びりや 精進 しょうじん)
ヂャー ナ (禅那 ぜんな 禅定 ぜんじょう)
ハラ ジニャ (般若 はんにゃ 智慧 ちえ)
(下部)
安政四丁巳冬月
 大行満願海敬書
  シリ―(吉祥天) スラタ(妙適)


「甘雨~」幟と同時に「雨乞標幟」として「般若心経梵題」一本(横巾三尺長さ三間半?)も作成。他にも数百点の遺品があって部分的には一覧もあるそうですが、保管はどうなっているでしょう… 史料以上のものもありそうで散逸の心配も…