地方名「焼餅石」と「饅頭石」

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保科百助「長野県小県郡鉱物標本目録」には方名「焼餅石」は3種4件ありますが「饅頭石」はありません。饅頭石というと雲根志にある山梨や鳥取等のものが有名ですが、小県地方でも、地元の人から「まんじゅういし」という名前を聞くことがあります。一方、数少ない個人的な経験では、現実の「焼餅石」は武石村産以外はほとんど見聞きしたことがありません。(もしかしたら、焼餅石と饅頭石の呼び方の分布には、時代や地域による違いがあるのかも)
饅頭石の特徴を聞いてみると、人によって様々で、曖昧にしか言えない人もいれば、堆積層の各種ノジュールだったり、玄能石だったこともありました。
結局のところ、地中から出てくる丸みのある石はすべて饅頭石と呼ばれることがあり、それと同時に「これは饅頭石。それは違う」と区別する人もいます。

地方名による石の定義は、曖昧、多元的、現在の分類とは不整合、そういうものなのでしょうか。だとすると、特定の標本・定義を示すだけでは本来の姿を歪めて伝えるかもしれず、伝える側は注意が必要、受け取る側もそのつもりで話を聞く必要があるように思います。