鉱物、有孔虫、魚鱗

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晦日は正月準備の後、除雪をしながら散歩。(夜にまた積雪でしたが…)
暗くなってきたので写真は止めて、道沿いの斜面の少し崩れたところで化石採集をしました。
各堆積岩を特徴付ける鉱物や化石を調べているので、化石採集というよりは岩石観察でしょうか。
泥岩はボロボロ、雪で濡れているため、泥灰岩、石灰質ノジュールを拾って観察しました。泥岩と同じく、魚、貝、植物、有孔虫など。

1枚目の写真、白い筋は貝の放射肋です。全体に白い粒々があり、2枚目はその拡大。(写真の幅約1mm) 小さくて、わかりませんが、炭酸カルシウムなどの鉱物ではないかと思います。有孔虫も混じっているかも。

3枚目の写真(幅約1mm)は Globigerina でしょうか。

4枚目以降は魚の鱗(約2.5mm)です。拡大写真の幅は約1.2mm。ニシン科ではなく、『地球科学 第82号』「別所累層産魚鱗化石について」(1966)を見ると、ハダカイワシ科が近そう。
http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN00141269/ISS0000436201_ja.html

ところで、「別所累層産魚鱗化石について」ではニシン科の魚鱗化石を「百足石」としていますが、江戸時代の『信濃奇勝録』(1834)では「むかで石」を「魚骨の跡なり」としていますし、保科百助『長野県小県郡鉱物標本目録』(明治28年・29年)でも別所村の百足石を「魚骨ノ化石ナリ」としています。
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/15522706
https://kengaku5.hatenablog.com/entry/15639282

『史蹟名勝天然紀念物調査報告 第12輯』(昭和6年)の八木貞助の報告も読んでみたのですが、百足石については「魚類の化石」としているだけで、詳しい説明や例示はありませんでした。結局、ニシン科の魚鱗化石を「百足石」としていたという話の出所は不明です。

伝説や石の地方名の話を好んでする人は多いですが、もし、歴史・伝承など適当で構わない、話が面白くなればそれでいい、と思っているなら、やめてほしいです。

以下は「別所累層産魚鱗化石について」と八木貞助「小県郡別所の亀石及百足石」の関連の記述です。


『地球科学第82号』(1966年1月)「別所累層産魚鱗化石について」より


まえがき

このような現状で,長野県小県郡塩田町別所温泉安楽寺裏山から産するニシン科の魚鱗化石が“ 百足石”《むかで》 (魚の化石)として昭和6年に長野県指定の天然記念物に指定(八木1931)されていることは興昧深いことである.


別所累層産魚鱗化石の種類および特徴

A型(第1図版,8図)第6図,第7図

別所温泉安楽寺付近では,昔からこの型の鱗の化石の産出が知られており, “百足石”とよばれ,天然記念物に指定されている.

(※A型はニシン科の魚鱗化石)



『史蹟名勝天然紀念物調査報告 第12輯』(昭和6年)八木貞助「小県郡別所の亀石及百足石」より

本建造物の地盤をなす第三紀頁岩中からは古来から百足石と称し魚類の化石を産出する含有面積は凡二十坪に亘る。建築物の地盤であるから又何人にも容易に実見し得る屈竟の地点であるからこれをも採集を禁止して永久に保存すべきものと思料する。