地質の活用

写真は千曲川で見かけた石英閃緑岩の小石の中の緑簾石です。同様の緑簾石の結晶は内村層の緑色凝灰岩類で多く見られ、どちらも石英閃緑岩が内村層に貫入したときに熱水によって出来たものでしょうか。 武石村の緑簾石の晶洞球顆(武石村の焼餅石)は、現在は…

方解石、黄鉄鉱

地質の観察会のときに「地域の代表的な鉱物は?」という質問というか話題があって、選ぶ基準に迷いましたが、石英、方解石、黄鉄鉱を挙げてみました。 身の回りの石や土砂は主に鉱物でできているので、量で選ぶなら、例えば火成岩の地域なら造岩鉱物の輝石、…

山の形

ハザードマップ等を見て、大きな地震のときに、どこでどんな崩壊・土石流・地すべり等があるか、頭の中で想像してみることも大切とのことで、地形や山の写真を見返したりしています。上の写真は斜面をえぐったような地形の中から、尾野山地区(東側から撮影…

自由研究の作品展

今年も上小児童生徒科学作品展を見てきました。上田創造館で今日と明日開催。 地質関係は、石の採集・コレクションに止まらず、気になる石の中の鉱物を調べたり、実験したりする作品があって、素晴らしかったです。(石の分類や成因については人によって言う…

沸石の観察

8月は暑過ぎて山にはほとんど出かけませんでしたが、先日、地質観察に誘って頂いて、初めての場所へ行ってきました。(ほとんど車移動) 上の写真はその場所とは別件で、そのとき学生さんから地元の沸石の微小結晶について質問を頂き、それがこんな感じの鉱…

変な石ころ、普通の石ころ(その2)

赤い模様のある、黒っぽい石です。紅十勝石とかマホガニーオブシディアンとかにも少し似ていますが、飾り石に使われているかどうかは知りません。(以前「マホガニー安山岩」と(たぶん冗談で)呼ばれているのを聞いたことがあります。) この石の露頭はまだ…

変な石ころ、普通の石ころ

川原で見かけたいろいろな模様の石です。 1枚目の写真は黒っぽい斑晶(たぶん角閃石)がある、普通の石ですが、何となく気になって見てしまいます。(家の近くに同じような石があって、雨が落ちてきたのかな?と、度々だまされます。) 2枚目の写真は、別の…

化石の体験、標本作り

先日、化石採集体験をして、今回は標本箱を一つ、みんなで作ってみました。(材料費はほぼ0円) 写真は事前に作った作成例です。ケース(約22cm x 16cm 108円)は実際は空き箱を使いました。小箱は昨年と同じで、ポスターなどの裏紙を折って作成。42mm x 37mm …

「日本の深海調査の開拓者」展

上田創造館の夏の企画展「日本の深海調査の開拓者」を見てきました。同時開催「魚?ぎょ?gyo?この海洋生物名前はな~に?」 7月28日(土)~8月26日(日) 地元の化石の展示(鈴木秀史先生の研究)もありました。(1~6枚目の写真。斜めから見たので化石の…

磁石につく石

1枚目の写真は川原の小石を小さなネオジム磁石につけてぶら下げたところです。 磁石につく石について調べた自由研究作品を見たことがありますが、先日採集した標本では安山岩、石英閃緑岩、緑色凝灰岩(部分)が磁石につきました。たぶん磁鉄鉱、磁赤鉄鉱な…

川原の石ころ標本

先日100円の仕切りケースを使った岩石標本を見せて頂いたので、真似をして川原の小石の標本を作ってみました。一マス 3cm x 2cm。(一番上の段以外はケースの一マスに2個ずつ入れています。) 1種1個、できるだけ多くの種類を集める方法です。(微妙に異なる…

コケムシとカイメン

以前、信州新町化石博物館「化石であそぼう!」展で見た小さな化石(約3mm~5mm)です。戸隠産の小さな化石の採集体験イベント(微化石モンスターを探せ!等)の成果物を展示したもの。「カイメン」と書いてあって、特に説明はなく、こういう種類のカイメン…

地質図と岩石標本

ほぼ同地点で採集した2種類の凝灰岩?です。写真幅約5mm。上のものは柔らかくて手でもある程度小さく割ることができました。露出の範囲は300m以上。下は硬くてハンマーが必要。道沿いに点在していて分布はよくわかりません。 地質図等に情報があるか見てみま…

有孔虫と耳石

上田創造館の岩石・鉱物・化石標本がいくつか増えていました。1枚目の写真の貝化石(約2cm 少し泥質の砂岩)は、候補は Portlandia Yoldia Saccella 等でしょうか。数が多いようなので鑑定すれば種類が絞り込めるかも。 2枚目の写真、左は有孔虫化石(別所層…

名称からの遡及的連想

1枚目の写真は『長野県地学図鑑』(1980) 138頁より T字形の玄能石。(約10cm弱) こんなT字形の石を子供が見たら「げんのういし」と呼んで遊ぶかもしれません。案外そんなことが語源なのかも。(形と名称からの遡り連想) 保科百助の玄能石入手についての記…

別所層の崖(続き)

本でも紹介された、玄能石の産地として有名な浦野川沿いの露頭が「立ち入りを禁止」「岩石の採集を禁止」(トラロープ)になっていました。 それでも鉱物採集で掘る人はいるようで(2枚目の写真)、周辺の保全を考えているのでしたら、今後も注意は必要かと…

五無斎保科百助君碑

津金寺の五無斎保科百助君碑です。揮毫は渡辺敏(わたなべ びん)先生。 顔写真は2011年の戸隠地質化石博物館「保科五無斎 没後100年展」より。 渡辺敏と浅岡一(あさおか はじめ)は実の兄弟なのでどちらか迷うことがありますが、いくつか比べてみると浅岡…

五無斎保科百助全集と記念イベント

記事画像は『信濃公論 第76号 明治43年4月13日』「時事短評」より。(『五無斎保科百助全集』(1964)250頁) 『全集』には文体に違和感のある文章があって、「時事短評」もその一つ。原本を見るとどれも無署名でした。保科百助の意に沿わない内容ではないかも…

長野県学生科学賞作品展覧会報告

『長野県学生科学賞作品展覧会報告』は夏休みの自由研究作品に関する冊子で、昭和39年度と40年度の報告(発行は40年12月と41年12月)に北御牧中学校地学班の作品の概要が載っていました。 (この報告書は作品そのものではないので、誤写等がある可能性はあり…

緒占石(おじめいし)と自然銅(じねんどう)

1枚目の写真は昨年上田創造館の講座で鉱物プレパラート作りをして観察した和田峠の柘榴石です。約1mm。 八木貞助(やぎ ていすけ 1879-1951)が和田峠の柘榴石について、緒占石(おじめいし)、菱石、菱形石と呼ばれた、緒締(おじめ)に加工された、土地の人…

中沸石 Mesolite の確認について

沢山産沸石類(蛇骨石)に中沸石があるという報告は、『地質学雑誌』等によると、昭和24年(1949)の齋藤光惠氏(小泉光恵 1923-2007) の研究が最初のようです。(他にもあるかもしれませんが。) 成分表の画像は、以下の論文の「第1表」より。 齋藤光惠「岩石…

九峯恒川重遠墓

恒川重遠(つねかわ しげとお じゅうおん? 1826-1882)の墓参をしたという方から場所を教えて頂いたので、行ってきました。 歴史の愛好家には、吉田松陰(1830-1859)や高杉晋作(1839-1867)と接点のある上田藩士 恒川才八郎として知られているかもしれません。…

保科百助の満韓地方視察計画

明治38年3月2日信濃毎日新聞に掲載された広告?です。 保科塾を始めて1年余りの頃、日露戦争中。(3月1日 奉天会戦) 直接的な表現はありませんが寄付金の募集広告でしょうか。 この広告の前、2月11日の演説会(明治38年1月28日と2月11日に「時局に関する通…

北御牧村の地層の研究

東御市 北御牧庁舎に文書館と市民交流サロンがオープン。文化財展示コーナーにアケボノゾウ化石、貝化石、植物化石等が常設展示されたとのことで、見てきました。 (ただし、一部、展示用ラベルの無い標本・資料があり、標本とラベルが入れ違っているものも…

別所層の崖

以前、化石さがしをした神川沿いの崖がコンクリート吹付になっていました。 地層観察はできなくはないですが、大勢で化石採集体験ができるほどの転石はもうないかも。 手前の辺りは、変質した石灰質の多い硬い泥岩があって、目に見えるような植物片・有孔虫…

二歩下がる?

2018年は保科百助(ほしな ひゃくすけ)(1868-1911)の生誕150周年ということで、先日ちょっとした勉強会がありました。そのとき『地質学雑誌』の記事を「インターネットで閲覧できる」と紹介したのですが「見つからない」とのご連絡があり… どうも消えているよ…

小さな氷瀑

もう溶けているかもしれませんが、山の沢で見た高さ3mほどの氷の滝です。 氷瀑のごつごつした表面は、出っ張ったところにさらにツララができて、北斎の波を思わせるような形。話は逆で、こういう自然の形から影響を受けて表現が生み出されるのかもしれません…

古東山道、東山道、望月牧

日曜日、立科町の歴史公開講座「蓼科山麓における古代の道と牧」に行ってきました。 東山道(律令期の行政区の一つ、及びその幹線国道)・古東山道(律令期以前の主要道路の一つ)や牧について、ほとんど知らなかったので大変勉強になりました。 具体的な古…

田中芳男展

長野県立歴史館の企画展「田中芳男-『虫捕御用』の明治維新」を見てきました。 12/16(土)~2/25(日)(月曜他休館日あり) 展示は撮影禁止だったので写真は外観です。 田中芳男(たなか よしお 1838-1916)は幕末・明治期の博物学者。文明開化の中心的人物の一…

天狗爪石(てんぐのつめいし)

先日、テレビの録画で鉄腕DASHのサメの歯漁具を見て、雲根志の天狗爪石を思い出しました。 「天狗の爪」は「サメの歯の化石のこと」と言われることもありますが、江戸時代には、他の動物の化石、雷管石、石器、骨角器、装身具、信仰に使われたもの、それらに…